ネット新連句「佐藤鬼房・(海の小石も)」(二)十

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ネット新連句「佐藤鬼房・(海の小石も)」(二)十

スタート 平成二十二年七月二十五日
ゴール  平成二十二年 月   日 
メンバー 小童(B)・宣長(B)・不遜(B)

(一)正調

一  女児の手に海の小石も睡りたる       佐藤鬼房  雑
二   生還したる我が夢枕             宣長  雑
三  みちのくは底知れぬ国さやかにて        不遜  秋
四   ブルートレインで行くフルムーン       小童  秋
五  名月を取ってくれよと鳴く牡牛          宣  秋月
六   闇食いちぎる虫の歯ぎしり           不  秋

(二)破調

一  増殖す虫歯菌一粒の飯              小  雑
二   素老人対湘南アンちゃん            宣  雑
三  流氷に乗り鬼房がやって来た           不  冬
四   パジャマはネルの転校生            小  夏
五  鉛筆を握りてミューズの蝶夢む          宣  春
六   我が猫の妻ずぶ濡れのまま           不  春恋
七  抱かれて犬ころ春駈け降りる少女         小  春恋
八   なければ欲しい愛痛きまで           宣  雑恋
九  縄文の狩人来る麁蝦夷(あらえみし)        不  雑
十   もみあげを伸ばしマーラー聴く         小  雑

十一   秋月
十二   秋


(讃岐通信)○ なければ欲しい愛痛きまで

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000030861609&Action_id=121&Action_id=121&Sza_id=HH
『愛痛きまで』 句集 小熊座叢書 第65番 佐藤鬼房/著  現在ご注文できません 。
http://sendan.kaisya.co.jp/ikkub02_0101.html

  襟巻の狐がしくと泣きにけり  (季語/襟巻き)

 今年は1日の夜から発熱、寝たまま、永田耕衣の句を選んだり、山田風太郎の『警視庁草紙』を読んだ。要するに、新年早々からの風邪で散々だったのだが、選句や読書に飽きると、うつらうつらしながらかつての正月風景などを連想した。回顧的になったのは、熱と風太郎のせいだと思う。熱の頭に浮かんだ風景に狐の襟巻きがあった。しばらく前まで、正月の娘さんはみんな和服で、そして、決まって狐の襟巻きをしていた。鬼房の句(句集『愛痛きまで』)では、その襟巻きの狐がしくと泣くのであり、これはなんとも色っぽい。泣く狐は、もちろん、その襟巻きの娘。テレビのニュースに初詣の風景があったが、今や和服の人は数えるほど。あの狐たちはみんな、納戸やクローゼットにしまわれたままなのだろうか。さびしくて泣いているかも。(坪内稔典)



(下野通信)○ 縄文の狩人来る麁蝦夷(あらえみし)

七 抱かれて犬ころ春駈け降りる少女
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E7%8A%AC%E3%80%80%E6%8A%B1%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%82%8B&imgurl=http://yaplog.jp/cv/tukio/img/296/datti51_p.jpg&imgrefurl=http://yaplog.jp/tukio/category_11/&usg=__hkhjwDUDcOA6YXSijDRLMh1HLO8=&h=500&w=351&sz=64&hl=ja&itbs=1&tbnid=TcGTG51E41ahyM:&tbnh=130&tbnw=91&prev=/images%3Fq%3D%25E7%258A%25AC%25E3%2580%2580%25E6%258A%25B1%25E3%2581%258B%25E3%2582%258C%25E3%2582%258B%26hl%3Dja%26sa%3DG%26gbv%3D2%26tbs%3Disch:1&sa=G&gbv=2&tbs=isch:1&start=11#tbnid=NTCcFECIYkWK-M&start=19

八 なければ欲しい愛痛きまで
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E6%81%8B%E3%80%80%E7%97%9B%E3%81%84&imgurl=http://i.ytimg.com/vi/Ba-ll4GUzrw/0.jpg&imgrefurl=http://www.photo400.com/howto/index.php%3Fkey%3D%25E6%2581%258B%25E6%2584%259B%25E3%2583%259C%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25AB%25E3%2583%25AD%25E3%2582%25A4%25E3%2583%2589&usg=__r0rgzdLouRcULHzktP4U760cYgA=&h=360&w=480&sz=16&hl=ja&itbs=1&tbnid=dnDANBw7CZii5M:&tbnh=97&tbnw=129&prev=/images%3Fq%3D%25E6%2581%258B%25E3%2580%2580%25E7%2597%259B%25E3%2581%2584%26hl%3Dja%26sa%3DG%26gbv%3D2%26tbs%3Disch:1&sa=G&gbv=2&tbs=isch:1&start=1#tbnid=dnDANBw7CZii5M&start=5
↓            
九 縄文の狩人来る麁蝦夷(あらえみし)
http://www.kogumaza.jp/oniku%20simonokoe.html

 句集『霜の聲』抄 (自選句)平成4年~6年 佐藤鬼房

        楽隊が来る雪穴を潜りぬけ        
        少年の斑気(むらき)を宿しゐる畦火
        雨樋の雨の奔流三鬼の忌
        東京に出て馬刺(ばさし)食ふ花の雨
        羽化のわれならずや虹を消しゐるは
        首こきと鳴る骨董の扇風機
        シベリヤで死にたる青い月下蝶
        日日が旗北へ寒流おし黙り                
        霜夜なり胸の火のわがあら蝦夷(あらえみし)
           王化に服さねものをあら蝦夷とよんだ
           あら蝦夷のあらの漢字ナシ
        山河荒涼狼の絶えしより
        いつかまた会ふ日が来るよてんぼ蟹
          註・てんぼ蟹は漸まねきのこと東北方言で片輪の手をてんぼといふ
        菜の花を食ひすぎて脳毀れたる
        わけもなく思ひ屈せり海朧
        風音を聞き分けてゐる花童女
        牛頭馬頭を手懐けて野に遊びけり
        飛ぶならば海越えて飛べ楓の実
        原民喜生きをり酷暑薄暮の木
        耳鳴りの月下たどれば被爆の木     
        縄文の漁(すなどり)が見ゆ藻屑の火
        病む母を騒がしてをく夕月夜
        老衰で死ぬ刺青の牡丹かな
        はらわたの腐りもせずに寝茣蓙かな
        体内に氷雨が溜まる溜めて置く
        秘仏とは女体なるべし稲の花
        石をもて打ちし蠍の尾が天に
        白雁を待つ頽齢の身を起こし       
        花野ゆく金伽羅(こんがら)童子従へて          
        わが胸の落葉を拉(しだ)く鴻(おおとり)よ
        海嶺はわが栖なり霜の聾
        晩涼の漣を生む拇指(おゆび)かな


(湘南通信)○ もみあげを伸ばしマーラー聴く 

 ユダヤ教は、何と云ってもあの不思議な”もみあげクルクル”ヘアスタイルが印象的。初めて見たときは誰しも驚いたに違いない。わたしだってそう。いきなり自分の目の前に、もみあげを縦ロールにしたお兄さんが現れたときは、本当に息を呑んでしまったよ(笑)。あれは子供のときからちゃんとやっているんだね。年端もゆかない可愛い男子が、キッパ(ユダヤ教特有の頭にちょこんと乗せる帽子)にもみあげクルクルスタイルで歩いているのを見ると、何だか分かんないが「すげー」と思ってしまう。大人になると、もみあげクルクル+口ひげあごひげ+黒いつば広帽子+黒いコートという、どっからどう見てもユダヤ教徒!と分かる格好に仕立てていて、団体でいたりするとなかなかスペクタクルな光景だ。http://hourouotome.hp.infoseek.co.jp/fusin47.html

 マーラーユダヤ教徒でした。……そして1897年の結婚を期にユダヤ教からカトリックに改宗しています。これには様々な憶測があるようです。たとえばウィーン宮廷歌劇場の指揮者になるために、カトリックに改宗したという説です。しかし、マーラーの心の中は誰にもわかりません。カトリックの基本思想である「復活」を主題とした交響曲第2番の発表は、改宗やウィーン宮廷歌劇場の指揮者就任の前年です。http://desktop-piano.blog.so-net.ne.jp/2010-07-25