ネット新連句「川上三太郎・(酒とろり)」(三)十二
リレー:[夏石番矢→大西泰世→橋本夢道→住宅顕信→渡辺白泉→三橋敏雄→西東三鬼→金子兜太→高柳重信→寺山修司→北園克衛→塚本邦雄→不遜亭希典→西脇順三郎→加藤郁乎→金子光晴→宮沢賢治→藤沢周平→横光利一→前田雀郎→岸本水府→川上三太郎]
ネット新連句「川上三太郎・(酒とろり)」(三)十二
スタート 平成二十二年五月二十一日
ゴール 平成二十二年 月 日
メンバー 小童(B)・宣長(B)・不遜(B)
(一) 正調
一 酒とろり身も気もとろり骨もまた 川上三太郎 雑
二 風船背中に準備オーケー 宣長 春
三 よなぐもるここは辺野古か夢醒めて 小童 春
四 牛舎豚舎に麦雨麦秋 不遜 夏
五 浄土へとあなた任せの夏の月 宣 夏
六 寸鉄一行なんじゃもんじゃ 小 雑
(二) 破調
一 恐山ここより生死一如なり 不 雑
二 今日も胡瓜もみ愛咬 宣 雑 恋
三 わが妻のわれより知らず冬の旅 小 冬恋
四 二人で野ばらのラブソング 不 夏恋
五 想えば秋の亡父の疣に似て 宣 秋
六 ユダの背中はいつも秋愁 小 秋
七 中国の嫦娥は日本で月読男 不 秋月
八 破門契機に八九三から洗足 宣 雑
九 お隣の自治会長さん小指ない 小 雑
十 蛙合戦社民は離脱 不 春
十一 流霞吾人酒に酔い花又花 宣 春花
十二 小天狗ひらり春の石鎚 小 春
(三)乱調
一 小沢ムッツリ鳩は笑顔で親指サイン 不 雑
二 泰山鳴動してコミカルネズミ何匹? 宣 雑
三 だから言ったじゃないの友愛はチェジュ 小 雑
四 月の下ムク・ヒヨ・カラス・カンカン踊り 不 秋月
五 秋祭鎮守神に祈りを捧げ最後まで抵抗 宣 秋
六 汝この冷まじ自殺点を認めるか 小 秋
七 初虹や初恋の名は市川房枝 不 春恋
八 若いツバメは基地求めて国内旋回 宣 春恋
九 ラブホで政治談議すカイワレ大臣の遍路杖 小 春恋
十 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
十一 琵琶乱調にあり治承寿永の国母 宣 雑
十二 すみやかに暗黙の退出促す「蛍の光」 小 冬
(下野通信)○ 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
八 若いツバメは基地求めて国内旋回 宣 春恋
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E8%8B%A5%E3%81%84%E3%83%84%E3%83%90%E3%83%A1%20%E8%AA%9E%E6%BA%90&imgurl=http://blog-imgs-37.fc2.com/x/i/a/xianxian8181/isojinmiyukibakankoku1.jpg&imgrefurl=http://xianxian8181.blog73.fc2.com/blog-entry-1668.html&usg=__4yrGNGBcz80ovZgDrrjoUUMWojs=&h=301&w=455&sz=22&hl=ja&um=1&itbs=1&tbnid=0usPzFIv71lhUM:&tbnh=85&tbnw=128&prev=/images%3Fq%3D%25E8%258B%25A5%25E3%2581%2584%25E3%2583%2584%25E3%2583%2590%25E3%2583%25A1%2B%25E8%25AA%259E%25E6%25BA%2590%26um%3D1%26hl%3Dja%26sa%3DN%26tbs%3Disch:1&um=1&sa=N&tbs=isch:1&start=4#tbnid=0usPzFIv71lhUM&start=8
↓
九 ラブホで政治談議すカイワレ大臣の遍路杖 小 春恋
十 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
http://blogs.yahoo.co.jp/seisei14/59559091.html
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E7%AE%A1%E7%9B%B4%E4%BA%BA%20%E5%B1%85%E7%9C%A0%E3%82%8A&imgurl=http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/image/20040119.jpg&imgrefurl=http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200401191850.html&usg=__A87i9Bzt_5XOTC_qLRLyazOs7IE=&h=304&w=400&sz=19&hl=ja&um=1&itbs=1&tbnid=i2HHLXoQ3lPpDM:&tbnh=94&tbnw=124&prev=/images%3Fq%3D%25E7%25AE%25A1%25E7%259B%25B4%25E4%25BA%25BA%2B%25E5%25B1%2585%25E7%259C%25A0%25E3%2582%258A%26um%3D1%26hl%3Dja%26sa%3DN%26tbs%3Disch:1&um=1&sa=N&tbs=isch:1&start=6#tbnid=i2HHLXoQ3lPpDM&start=10
川上三太郎の句(五)
せいじか 八句
○ せいじかのよむよりできぬかくせいき
○ せいじかのおのれにゆるくたにきびし
○ せいじかのなまりいやしくはかまはく
○ せいじかにせいじかがきてみみこすり
○ せいじかのすうじにうときたぬきがほ
○ せいじかのけふもこつぷとちよくをもつ
○ せいじかはくにやぶれても2がうてい
○ せいじかのしきよくつよきはなのあな
(讃岐通信)○ 琵琶乱調にあり治承寿永の国母
上原まりさんが琵琶をかき鳴らし、声をしぼり、目を宙に彷徨わせるとき―その髪の毛の幾筋かが震え、着物の裾がわずかに乱れるのを見るのが好きだった。瀬戸内さんの作品に「美は乱調にあり」というのがあるが、女が何かにとり憑かれて千々に乱れる姿は、いつだって、怖く妖しく美しい。―この人を「平曲」の世界だけに閉じ込めておくのは、もったいないと私は思った。上原さんが天性持っている妖美なリズム感を、琵琶の音色に籠めて、たとえば「源氏物語」で聴いたら、私はまだ知らない恍惚の国に誘われるのではなかろうか。思いつきは、やってみるものである。この人の「桐壺」は、華やかな桜吹雪のような絶品になった。後に不思議な空しさが残った。それは、ひたひたと押し寄せる払暁の花冷えに似ていた。
もしかしたら、琵琶は『平家』より『源氏』に似合うのではあるまいか。琵琶は意外に明るい楽器である。楽しい楽器でもある。だいたい楽器というものには、かならず隠された音色があるものだが、こんど「明石」で楽しい瓢軽さや滑稽さを出してもらおうと、上原さんにお願いしたら、これまた新しい『源氏』の世界が生れた。そこから一変して、落日の海に雪崩れ込んでいく落差も見事だった。琵琶と、上原さんの哀しい乱調が、夕焼け色の中天で、激しく抱擁しあった快感がそこにはあった。
調子に乗って言うなら―上原さんには、《前は海、後ろは山、波も風も音合わせ……》の『源平盛衰記』もやってもらいたいし、《向こうの小沢に蛇が立って、八幡長者の、おと娘……》の鏡花の『草迷宮』も読んでほしい。高山樗牛なら、《やがて来む寿永の秋の哀れ、治承の春の楽しみに知る由もなく、六歳の後に昔の夢を辿り……》の『滝口入道』なんかも、琵琶に乗ればさぞ快いだろう。上原まりさんには、美しい日本の文章と、その哀しいリズムを語り伝える、乱調の琵琶巫女になってほしい。~久世光彦「琵琶、乱調にあり」~
http://www.onsei.co.jp/hohoemi/yurai/genji_cd.html
(湘南通信)○ すみやかに暗黙の退出促す「蛍の光」
古くからスコットランドに伝わる民謡に「オールド・ラング・サイン」というのがある。日本語で「久しき昔」と訳せるこの曲は、「蛍の光」として我々にも馴染深い。誰が、いつ、何の目的でこの民謡を伝えたかに興味あるが、少なくとも現在に至るまで、年末年始、披露宴、誕生日など別れの場面で、いつも我々はお世話になっている。スコットランド人といえば、日本の幕末に大いに貢献したと思われるグラバーがすぐ思い出されるが、この曲の元歌詞を知ると、改めて考えさせられるのである。
「旧友は忘れていくものなのだろうか、古き昔も心から消え果てるものなのだろうか。友よ、古き昔のために、親愛のこの一杯を飲み干そうではないか。我らは互いに杯を手にし、いままさに、古き昔のため、親愛のこの一杯を飲まんとしている。我ら二人は丘を駈け、可憐な雛菊を折ったものだ。だが古き昔より時は去り、我らはよろめくばかりの距離を隔て彷徨っていた。我ら二人は日がら瀬に遊んだものだ。だが古き昔より二人を隔てた荒海は広かった。いまここに、我が親友の手がある。いまここに、我らは手をとる。いま我らは、良き友情の杯を飲み干すのだ。古き昔のために」この歌詞をつけたのはスコットランドの詩人ロバート・バーンズという。
シラーの詩に曲をつけ、交響曲第九番にしたてたベートーヴェンも、この「オールド・ラング・サイン」に伴奏を付け編曲している。ベートーヴェンだけではない、ハイドンもシューマンも。このように「オールド・ラング・サイン」は、スコットランドだけでなく他国へと浸透してゆく。まず日本では、大日本帝国海軍での「告別行進曲」もしくは海軍兵学校の卒業式典曲として、公共施設や商業施設での閉館閉店直前のBCMとして、すみやかに、客に暗黙の退出を促すのである。そして台湾で、香港で、卒業式や葬儀などで、しかしフィリピンなど、イギリスやアメリカ合衆国などの英語圏の国々では大晦日のカウントダウンの際にのみ流される。そして大韓民国では、1948年の李承晩大統領による大統領令により現在の国歌を制定するまで、なんとこの「オールド・ラング・サイン」が国歌であった。
ネット新連句「川上三太郎・(酒とろり)」(三)十二
スタート 平成二十二年五月二十一日
ゴール 平成二十二年 月 日
メンバー 小童(B)・宣長(B)・不遜(B)
(一) 正調
一 酒とろり身も気もとろり骨もまた 川上三太郎 雑
二 風船背中に準備オーケー 宣長 春
三 よなぐもるここは辺野古か夢醒めて 小童 春
四 牛舎豚舎に麦雨麦秋 不遜 夏
五 浄土へとあなた任せの夏の月 宣 夏
六 寸鉄一行なんじゃもんじゃ 小 雑
(二) 破調
一 恐山ここより生死一如なり 不 雑
二 今日も胡瓜もみ愛咬 宣 雑 恋
三 わが妻のわれより知らず冬の旅 小 冬恋
四 二人で野ばらのラブソング 不 夏恋
五 想えば秋の亡父の疣に似て 宣 秋
六 ユダの背中はいつも秋愁 小 秋
七 中国の嫦娥は日本で月読男 不 秋月
八 破門契機に八九三から洗足 宣 雑
九 お隣の自治会長さん小指ない 小 雑
十 蛙合戦社民は離脱 不 春
十一 流霞吾人酒に酔い花又花 宣 春花
十二 小天狗ひらり春の石鎚 小 春
(三)乱調
一 小沢ムッツリ鳩は笑顔で親指サイン 不 雑
二 泰山鳴動してコミカルネズミ何匹? 宣 雑
三 だから言ったじゃないの友愛はチェジュ 小 雑
四 月の下ムク・ヒヨ・カラス・カンカン踊り 不 秋月
五 秋祭鎮守神に祈りを捧げ最後まで抵抗 宣 秋
六 汝この冷まじ自殺点を認めるか 小 秋
七 初虹や初恋の名は市川房枝 不 春恋
八 若いツバメは基地求めて国内旋回 宣 春恋
九 ラブホで政治談議すカイワレ大臣の遍路杖 小 春恋
十 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
十一 琵琶乱調にあり治承寿永の国母 宣 雑
十二 すみやかに暗黙の退出促す「蛍の光」 小 冬
(下野通信)○ 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
八 若いツバメは基地求めて国内旋回 宣 春恋
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E8%8B%A5%E3%81%84%E3%83%84%E3%83%90%E3%83%A1%20%E8%AA%9E%E6%BA%90&imgurl=http://blog-imgs-37.fc2.com/x/i/a/xianxian8181/isojinmiyukibakankoku1.jpg&imgrefurl=http://xianxian8181.blog73.fc2.com/blog-entry-1668.html&usg=__4yrGNGBcz80ovZgDrrjoUUMWojs=&h=301&w=455&sz=22&hl=ja&um=1&itbs=1&tbnid=0usPzFIv71lhUM:&tbnh=85&tbnw=128&prev=/images%3Fq%3D%25E8%258B%25A5%25E3%2581%2584%25E3%2583%2584%25E3%2583%2590%25E3%2583%25A1%2B%25E8%25AA%259E%25E6%25BA%2590%26um%3D1%26hl%3Dja%26sa%3DN%26tbs%3Disch:1&um=1&sa=N&tbs=isch:1&start=4#tbnid=0usPzFIv71lhUM&start=8
↓
九 ラブホで政治談議すカイワレ大臣の遍路杖 小 春恋
十 和服着て只今睡眠グースカグーグー 不 雑
http://blogs.yahoo.co.jp/seisei14/59559091.html
http://www.google.co.jp/imglanding?q=%E7%AE%A1%E7%9B%B4%E4%BA%BA%20%E5%B1%85%E7%9C%A0%E3%82%8A&imgurl=http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/image/20040119.jpg&imgrefurl=http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200401191850.html&usg=__A87i9Bzt_5XOTC_qLRLyazOs7IE=&h=304&w=400&sz=19&hl=ja&um=1&itbs=1&tbnid=i2HHLXoQ3lPpDM:&tbnh=94&tbnw=124&prev=/images%3Fq%3D%25E7%25AE%25A1%25E7%259B%25B4%25E4%25BA%25BA%2B%25E5%25B1%2585%25E7%259C%25A0%25E3%2582%258A%26um%3D1%26hl%3Dja%26sa%3DN%26tbs%3Disch:1&um=1&sa=N&tbs=isch:1&start=6#tbnid=i2HHLXoQ3lPpDM&start=10
川上三太郎の句(五)
せいじか 八句
○ せいじかのよむよりできぬかくせいき
○ せいじかのおのれにゆるくたにきびし
○ せいじかのなまりいやしくはかまはく
○ せいじかにせいじかがきてみみこすり
○ せいじかのすうじにうときたぬきがほ
○ せいじかのけふもこつぷとちよくをもつ
○ せいじかはくにやぶれても2がうてい
○ せいじかのしきよくつよきはなのあな
(讃岐通信)○ 琵琶乱調にあり治承寿永の国母
上原まりさんが琵琶をかき鳴らし、声をしぼり、目を宙に彷徨わせるとき―その髪の毛の幾筋かが震え、着物の裾がわずかに乱れるのを見るのが好きだった。瀬戸内さんの作品に「美は乱調にあり」というのがあるが、女が何かにとり憑かれて千々に乱れる姿は、いつだって、怖く妖しく美しい。―この人を「平曲」の世界だけに閉じ込めておくのは、もったいないと私は思った。上原さんが天性持っている妖美なリズム感を、琵琶の音色に籠めて、たとえば「源氏物語」で聴いたら、私はまだ知らない恍惚の国に誘われるのではなかろうか。思いつきは、やってみるものである。この人の「桐壺」は、華やかな桜吹雪のような絶品になった。後に不思議な空しさが残った。それは、ひたひたと押し寄せる払暁の花冷えに似ていた。
もしかしたら、琵琶は『平家』より『源氏』に似合うのではあるまいか。琵琶は意外に明るい楽器である。楽しい楽器でもある。だいたい楽器というものには、かならず隠された音色があるものだが、こんど「明石」で楽しい瓢軽さや滑稽さを出してもらおうと、上原さんにお願いしたら、これまた新しい『源氏』の世界が生れた。そこから一変して、落日の海に雪崩れ込んでいく落差も見事だった。琵琶と、上原さんの哀しい乱調が、夕焼け色の中天で、激しく抱擁しあった快感がそこにはあった。
調子に乗って言うなら―上原さんには、《前は海、後ろは山、波も風も音合わせ……》の『源平盛衰記』もやってもらいたいし、《向こうの小沢に蛇が立って、八幡長者の、おと娘……》の鏡花の『草迷宮』も読んでほしい。高山樗牛なら、《やがて来む寿永の秋の哀れ、治承の春の楽しみに知る由もなく、六歳の後に昔の夢を辿り……》の『滝口入道』なんかも、琵琶に乗ればさぞ快いだろう。上原まりさんには、美しい日本の文章と、その哀しいリズムを語り伝える、乱調の琵琶巫女になってほしい。~久世光彦「琵琶、乱調にあり」~
http://www.onsei.co.jp/hohoemi/yurai/genji_cd.html
(湘南通信)○ すみやかに暗黙の退出促す「蛍の光」
古くからスコットランドに伝わる民謡に「オールド・ラング・サイン」というのがある。日本語で「久しき昔」と訳せるこの曲は、「蛍の光」として我々にも馴染深い。誰が、いつ、何の目的でこの民謡を伝えたかに興味あるが、少なくとも現在に至るまで、年末年始、披露宴、誕生日など別れの場面で、いつも我々はお世話になっている。スコットランド人といえば、日本の幕末に大いに貢献したと思われるグラバーがすぐ思い出されるが、この曲の元歌詞を知ると、改めて考えさせられるのである。
「旧友は忘れていくものなのだろうか、古き昔も心から消え果てるものなのだろうか。友よ、古き昔のために、親愛のこの一杯を飲み干そうではないか。我らは互いに杯を手にし、いままさに、古き昔のため、親愛のこの一杯を飲まんとしている。我ら二人は丘を駈け、可憐な雛菊を折ったものだ。だが古き昔より時は去り、我らはよろめくばかりの距離を隔て彷徨っていた。我ら二人は日がら瀬に遊んだものだ。だが古き昔より二人を隔てた荒海は広かった。いまここに、我が親友の手がある。いまここに、我らは手をとる。いま我らは、良き友情の杯を飲み干すのだ。古き昔のために」この歌詞をつけたのはスコットランドの詩人ロバート・バーンズという。
シラーの詩に曲をつけ、交響曲第九番にしたてたベートーヴェンも、この「オールド・ラング・サイン」に伴奏を付け編曲している。ベートーヴェンだけではない、ハイドンもシューマンも。このように「オールド・ラング・サイン」は、スコットランドだけでなく他国へと浸透してゆく。まず日本では、大日本帝国海軍での「告別行進曲」もしくは海軍兵学校の卒業式典曲として、公共施設や商業施設での閉館閉店直前のBCMとして、すみやかに、客に暗黙の退出を促すのである。そして台湾で、香港で、卒業式や葬儀などで、しかしフィリピンなど、イギリスやアメリカ合衆国などの英語圏の国々では大晦日のカウントダウンの際にのみ流される。そして大韓民国では、1948年の李承晩大統領による大統領令により現在の国歌を制定するまで、なんとこの「オールド・ラング・サイン」が国歌であった。